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ビザと日米間の年金

2005年に結ばれた日米社会保障協定に基く、日米での年金の仕組みについて話します。この年金協定が結ばれる前は、日本の企業から米国の子会社などの派遣された従業員も、日米の両国で社会保障制度に加入する必要があり、米国での滞在期間が短期の従業員は米国での社会保障の保険料が(ソーシャルセキュリティー)が掛け捨てになっていました。この社会保障協定はそのような二重払いを防ぎ、日米間の交流をより円滑にする目的で制定されました。  

社会保障協定の基本的な考え方

この協定の基本的な考え方は、日本と米国での両国での年金医療制度への二重加入の防止と日米両国での年金加入期間を通算し年金保険料の掛け捨てを防止しています。具体的には、日本の事業所に勤務する人などが、米国にある支店や駐在員事務所などに派遣される場合、両国の社会保障制度に二重に加入しなければならないことがありましたが、この協定により、いずれか一方の社会保障制度のみに加入すればよいことになりました。

協定の対象者は、原則として、その人が就労している国の社会保障制度のみに加入します。ただし、事業所から一時的(5年以内と見込まれる場合)に協定相手国に派遣される人は、引き続き派遣元の国の社会保障制度のみに加入します。例えば、日本の事業所から米国に派遣される人は、原則として米国の社会保障制度のみに加入することになりますが、派遣期間が一時的であれば、引き続き日本の社会保障制度のみに加入することになります。

加入すべき社会保障制度―日本か米国か

(日本から米国に派遣される場合)

日本から米国へ行き、就労する人が加入する社会保障制度は、米国での就労期間により次のようになります。

  1. 日本の事業所からの派遣で、その派遣期間が5年以内と見込まれる場合は、日本の社会保障制度への加入
  2. 日本の事業所からの派遣で、その派遣期間が5年以上と見込まれる場合は、 米国の社会保障制度への加入
  3. 日本の事業所からの派遣で、その派遣期間が予見できない場合は、原則は米国の社会保障制度へ加入(申請内容により認められれば日本の社会保障制度への加入も可能)
  4. 米国での現地採用の場合は、米国の社会保障制度への加入

上記の考え方は、事業所で就労する人だけではなく自営業者にも適用されます。例えば、日本の自営業者が一時的に米国で自営活動を行うのであれば、引き続き日本の社会保障制度に加入することになりますが、長期的に米国での自営活動を行う場合は米国での社会保障制度に加入することになります。また、日本で自営業を行っていない人が米国で自営活動を行う場合は、米国での社会保障制度に加入することになります。

日本の社会保障制度に継続的に加入し、米国の社会保障制度への加入を免除されるためには、日本の社会保障制度に加入していることを証明する“適用証明”の交付を社会保険事務所から受ける必要があります。

なお、この“適用証明書”の交付を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。

  1. 日本の年金、医療保険制度に加入していること
  2. 日本の事業所との雇用関係が継続していること(自営業者については、米国でも引き続き自営活動を行っていること)
  3. 派遣期間が5年以内と見込まれる場合であること(自営業者については、就労期間が5年以内と見込まれること)
  4. 米国に派遣される直前に、原則として6ヶ月以上継続して日本で雇用され就労していたこと

なお、日本で国民年金及び国民健康保険に加入していた人は、米国に住所を移すと国民年金の加入義務がなくなりますので、上記(1)の条件を満たすために、国民年金に任意加入する必要があります。ただし、国民健康保険には任意加入制度はないため、国民健康保険に加入していない場合であっても、上記(1)の条件を満たしているものとして取り扱われます。

(米国から日本に派遣される場合)

米国から日本に行って就労する人が加入する社会保険制度は、日本から米国へ来る人の場合と概ね同様の考え方によって取り扱われます。ただし、米国から日本に一時派遣される人が、米国の社会保障制度に引き続き加入する場合であっても、日本の年金制度への加入のみが免除され、医療保険制度への加入が免除されない場合があります。

理由は、米国の公的医療保険制度(メディケア)は現役時代には給付がされないため、日本の医療保険制度への加入が免除されると、日本での医療費支出に際して日米両国のいずれからも医療費給付が受けられないといった事態が生じます。このため、日本での医療費支出に備えて米国の民間医療保険に加入していることを条件に、日本の医療保険制度への加入が免除されることになっています。

また、配偶者や子供などが一緒に日本に滞在する場合には、その全員が民間医療保険に加入していなければなりません。もし、本人及び家族の中に民間医療保険に加入していない人がいる場合は、本人及び家族の全員について日本の医療保険制度への加入が免除されないことになります。

日米での年金加入通算の仕組みと年金額
       
年金加入期間の通算

年金を受けるためには、一定の期間年金制度に加入して年金保険料を納めなければならないという期間要件が日米ともに定められています。ところが、いずれかの国の年金制度に一時的に加入した場合などは、加入期間が短いために年金を受けられず、納付した年金保険料が掛け捨てになってしまう事がありました。しかしながら、協定により、日本とアメリカの年金加入期間を通算することで、年金の受給権を獲得できるようになりました。年金加入期間の通算とは、両国の年金加入期間をまとめて一方の国から年金を受けるという仕組みではなく、それぞれの国で年金受給権を得るための期間要件を判断する場合に相手国の年金加入期間を通算するという仕組みです。したがって、年金を受けるときには、日米両国の年金制度に加入した期間に応じた年金を、それぞれの国から受けることになります。

日本の年金にアメリカの年金加入期間を通算する場合の取り扱い

(年金加入期間の通算の仕組み)

  アメリカの年金加入期間を通算して日本の年金を受ける場合には、アメリカの年金加入期間を日本の年金制度に加入していたものとみなして取り扱います。
具体的な通算の仕組みは以下のとうりです。

  1. 老齢年金の場合

加入期間が25年以上必要という条件(期間要件)を満たしているかを判断するときに、アメリカの年金加入期間を通算できます。

  1. 障害、遺族年金の場合
    1. 被保険者期間のうち保険料納付済期間と保険料免除期間(保険料が未納でない期間)とを合算した期間が3分の2以上必要という条件(納付要件)を満たしているかを判断する時に、アメリカの年金加入期間を通算できます。
    2. 初診日又は死亡日に日本の年金制度に加入していなければならないという条件を満たしているかを判断する時に、アメリカの年金加入期間を日本の年金制度に加入していたものとみなして判断します。

 

年金加入期間の通算による年金額

協定に基いて、アメリカの年金加入期間を通算して期間要件等を満たした年金については、日本の年金制度の保険料を納めた実績に応じて年金額が決まります。
具体的な年金額の計算の考え方は以下のとうりです。

1. 年金加入期間に応じて額が決まる年金
老齢基礎年金、老齢厚生年金、遺族厚生年金などが該当し、日本の年金加入期間に
応じて年金額が決まります。

2. 年金加入期間にかかわらず一定の額が決まる年金
障害基礎年金、遺族基礎年金などが該当し、日本の年金制度に実際に加入した期間
と理論上加入可能であった期間との比率に応じて年金額が決まります。

3. 年金加入期間が一定期間以下でも期間をかさ上げして額が決まる年金
障害厚生年金、遺族厚生年金、(加入期間が300月未満の場合)などが該当し、
かさ上げした期間の割合及び日本の年金制度に実際に加入した期間と理論上加入可
能であった期間との比率に応じて年金額が決まります。

4. 年金加入期間が一定以上の場合に一定の額が決まる年金
老齢厚生年金の加給年金額などが該当し、日本の年金加入期間と本来必要な期間と
の比率に応じて年金額が決まります。

アメリカの年金に日本の年金加入期間を通算する場合の取り扱い

日本の年金加入期間を通算してアメリカの年金を受ける場合には、日本の年金加入期間を、アメリカの年金制度に加入していたものとみなして取り扱います。これにより、アメリカの年金加入期間と、重複する期間を除く日本の年金加入期間とを通算して、アメリカの老齢年金を受けるために必要な期間である10年を満たしていれば、アメリカの老齢年金を受けることができます。また同様に、障害年金及び遺族年金を受けるためにも加入期間等について一定の条件がありますが、この条件を満たしているかどうかの判断をするときに、日本の年金加入期間をアメリカの年金制度に加入していたものとみなして判断します。ただし、この取り扱いを受けるためには、最低でも1年6ヶ月(6クレジット)以上のアメリカの年金加入期間が必要となります。

日本の年金加入期間を通算してアメリカの年金を受ける場合の支給額については、アメリカの年金制度に加入した期間の実績に応じた額が支給されることになります。また、日本に在住している人がアメリカの年金を請求する場合や、アメリカに在住している人が日本の年金を請求する場合は、それぞれ直接相手国の年金相談窓口に申請する必要がありましたが、協定により、居住国の年金担当窓口で相手国の年金を申請することが可能になりました。

参考資料:社会保険庁のホームページ

 
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