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日本から米国へ来て所得があった人は基本的には、米国での所得税申告(Tax Return)が必要になります。これは日本では確定申告にあたる制度ですが、米国では所得が、標準控除額(Standard Deduction)と人的控除額(Personal Exemption) の合計を超えれば全ての人が所得税の申告をしなければなりません。(ビザの種類で例外在り)

所得税の申告に際しては、居住者か非居住者かの区分けが税務上重要な要素となります。なぜなら、居住者は米国の所得に限らず日本の所得を含め世界ベースでの所得を申告することになり、非居住者は米国だけの所得を申告することになるからです。

居住者(Resident Alien)、非居住者(Nonresident Alien)の区分

居住者、非居住者の区分は、その人が所持しているビザの種類と米国滞在日数により決定されます。ただし、永住権(Green Card)保持者、外交官(A- visa)、学生(F-visa)、専門学校生(M-visa)、研修生(J-visa)交換訪問者(Q-visa)のビサを保持している人は、特例者(”Exempt Individual”)として例外とされ、米国滞在期間テスト(”substantial presence test”)を根拠とした、居住者か非居住者であるかの決定は受けません。この除外規定が適用されるためには、フォーム8843を提出することが必要です。永住権保持者は自動的に居住者とされ、外交官、学生、専門学校生、研修生、交換訪問者は基本的には非居住者として区分されます。

米国滞在期間テスト

上述のように、永住権や特定のビサを保持した、特例者を除き、その他のビサを保有している人は、米国滞在期間テストにより居住者か非居住者であるのかを決定することになります。具体的には、次の1と2の二つの条件を同時に満たすと、居住者として税務申告をすることになります。

  1. 当該暦年中の滞在日数が累計で31日以上であること。
  2. 次の(a) (b) (c)の合計が183日以上であること。
  3. 当該暦年中の米国滞在日数
  4. 当該暦年の前の暦年中の米国滞在日数の3分の1
  5. 当該暦年の前々暦年中の米国滞在日数の6分の1

尚これらの滞在日数には、特例者(”Exempt Individual”)に該当する、永住権や特定のビサを保持して滞在した期間は含まれないことになっています。 従って、米国滞在期間が183日以上あった年は当然居住者となります。また滞在期間が31日以上であれば183日以下であった年でも、前年度の3分の1と前々年度の6分の1の滞在期間を合計すると183日以上になれば居住者となります。

居住者の税務

上記の区分で居住者となった人は、米国市民と同様に、居住者である期間に受け取った米国源泉の所得に限らず、外国源泉の全所得も含めて米国での所得税の対象になります。よって、源泉地にかかわらず、給与、利息、配当、事業所得、譲渡所得などの一切の所得を総所得(Gross Income)に含めて申告することになります。したがって、米国に居住している日本人でも、日本源泉の所得も含めて米国連邦政府に総所得として税務申告をする必要があります。

また、グリーンカード保持者は、上記の米国滞在期間にかかわらずに居住者になりますので全世界の所得が米国で課税の対象となります。グリーンカード保持者で問題になるのは、米国を離れても全世界の所得が米国で課税の対象になることです。グリーンカード以外の移民ステータスの人が日本へ帰国すると、米国の居住者でなくなりますので、米国源泉以外の所得は米国で申告する必要はありませんが、グリーンカード保持者は、日本の所得も米国で報告しなければなりません。

米国からの帰国後もグリーンカード保持者は、日本の所得を日本と米国で税務申告することになりますので、二重課税になる可能性があります。その対策として、海外役務所得控除(Foreign Earned Income Exclusion) と外国税額控除(Foreign Tax Credit)が利用できます。この控除が認められる所得は、労働の対価として得た所得(Earned Income)だけですから、利息や不動産賃貸収入、譲渡収入などは控除の対象にはなりません。外国税額控除は日本で課税された所得に課税される連邦税から、日本で支払った税金額を差し引いて支払うことができる制度です。

非居住者(Nonresident Alien)の税務

非居住者は、米国での源泉所得の内で、米国関連所得(”Effectively connected U.S. Source Income”)についてのみ課税の対象となります。この米国関連所得とは、米国での給与所得や事業所得などの役務の提供の対価として発生した所得や、米国の不動産の売買や賃貸により発生した所得のことであり、所得が発生した翌年の4月15日までに、1040NRというフォームを使い所得税の申告をする必要があります。

これらの申告が必要な所得以外は、非米国関連所得(Non-effectively connected U.S Source Income)とされ、源泉徴収の対象となります。非米国関連所得はこの源泉徴収税により課税が完結するので税務申告をする必要はありません。この非米国関連所得とは、米国内の金融機関などから受け取る利息、米国会社からの配当、特許や著作権のライセンス料などが含まれます。この源泉徴収方式には、通常、w−8というフォームを使用して行います。

また、税務申告に際しては、居住者でも非居住者でもSocial Security Number (S.S.N)が必要ですが、現在SSNは労働ビサを所持している人にしか発行されていませんので、米国歳入長から納税者番号(Tax ID)を取得する必要があります

税務の実務

個人所得税の基本知識について少し具体的に話します。

所得税の体系

米国では、連邦政府と州政府の二つの政府が存在するために、所得税も、連邦政府と州政府へ別々に申告納付する義務があります。これは、個人でも法人でも同じことです。米国の居住者は、全ての総所得から、種々の控除を差し引いた課税所得に対する税金を連邦政府(IRS)に納付する義務があります。また、州政府にはその州で発生した所得に対して、州所得税を納付する義務があります。現在、個人所得税納付の義務が無い州は、アラスカ、フロリダ、ネバダ、サウスダコダ、テキサス、ワシントン、ワイオミングの7つの州となっています。その他の州は州所得税を申告納付する義務があります。なお、連邦所得税は、州所得税がない州に居住していても納付する義務があります。

所得税計算の方法

所得税の計算方法は、総所得(Gross Income)より所得調整控除(Deduction for AGI)
を差し引き、調整総所得(Adjusted Gross Income)を算出します。この調整総所得より、標準控除額(Standard deduction)か、項目別控除(Itemized deduction)を選択して差し引きます。さらに、人的控除(Personal Exemption)を差し引いて、課税所得(taxable Income)を算出します。この課税所得に税率を掛けて税額を算出します。この税額から、税額控除(Tax Credits)を差し引き、支払い税額(Tax Liability)を算出します。

総所得(Gross Income)の定義

申告所得の対象となる、総所得は、連邦税法(IRC)で、"except as otherwise provided…, all income from whatever source derived." と定義されており、連邦税法で除外されていない限りは、全ての源泉の所得が総所得に含まれ課税の対象になるとしています。具体的には、給与、賞与、配当、利息、年金、退職金、事業所得、株や不動産の売却益、ギャンブルの利益、宝くじの賞金などの殆どの所得が課税の対象となります。

課税の対象とならない所得の例としては、自動車事故などによる傷害に対する賠償金、生命保険の死亡保険金、労災保険の保険金、相続や贈与により受領した金銭などです。また、これらの相続や贈与による受領は相続税や贈与税の対象となります。

所得調整控除(Deduction for AGI)

所得調整控除の対象となる控除項目は、個人退職金口座拠出金(IRA deduction)、教育ローン支払い利子(Student loan interest)、医療貯蓄口座拠出金(health saving account deduction)、転居費用(Moving expense)、自営業税の半分(One-half of self employment tax)、自営業健康保険料(Self-employed health insurance deduction)、離婚補償金(Alimony)、教育者費用(Educator expenses)などが含まれます。

標準控除(Standard deduction)と項目別控除(Itemized deduction)

標準控除と項目別控除はどちらか一つの選択となります。但し、非居住者は項目別控除だけしか認められません。標準控除は、具体的な経費項目を挙げずに、申告者の家族構成により、一定額の控除が認められます。その金額は、独身者申告(Single)、 夫婦合算申告(Married filing jointly)、夫婦個別申告(Married filing separately) などの、納税者の申告の区分により違っています。

項目別控除は、個別控除と呼ばれることもあります。個人消費生活にかかわる経費のうち、税法上認められているものを項目別に並べて、その合計額を控除する方式です。項目別控除に含まれる経費としては、医療費、住宅ローンの利息、寄付金、災害盗難損失、勤務活動経費、投資関連経費、固定資産税などがあります。一般的に、持家がある納税者は、固定資産税と住宅ローンの利息の金額だけで、標準控除の金額を越えることが多いため、項目別控除方式を選択することによって節税が可能となります。

人的控除、扶養控除 (Personal Exemption)

人的控除、扶養控除は、納税者本人、配偶者、扶養家族各一人について一定金額の控除が認められるという制度です。日本の所得税の基礎控除、配偶者控除、扶養控除に相当します。

扶養控除が認められるには、5つの条件を満たす必要があります。5つの条件とは、被扶養者が一定の親族である事(Relationship test), 総所得の制限(Gross income test)、 扶養をしている事実 (Support test)、 被扶養者が 夫婦合算申告をしていない事 (Joint return test)、被扶養者が 市民或いは居住者である事 (Citizenship test)となっています。

課税所得(Taxable income)と税額控除(Tax Credit)

上記のように、総所得から、所得調整控除、標準控除或いは項目別控除と人的控除、扶養控除を差し引き、課税所得が算出されます。この課税所得に該当する税率(10%から35%)を乗じて税額を確定します。

税額控除とは、税額を計算した後、税額から差し引く形で控除を受けます。主な税額控除には、外国税控除(Foreign tax credit)、子供控除(Child tax credit)、子供世話費控除(Child care credit)、老人、障害者控除(Elderly and disable credit)、教育費控除(Education credit)などがあります。 これらの税額控除を差し引き、納付する税額を算出します。さらに、この確定税額から既に納付済みの予定納税や給与等の源泉徴収額を差し引いて税金を支払うことになります。

参考文献:West Federal Taxation, Income Tax Fundamental-Thompson South-Western
IRS ホームページ

 
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